はじめての福祉の手

一人では育てられないと自覚してから児童相談所に相談することも何度か考えましたが児童相談所というと虐待の問題解決や施設に預けるための相談所というイメージが強く、育てにくい子供の育児相談を気軽にする場所という感じがせず、敷居が高く感じたので、なかなか相談できずにいました。

このころ、(息子が小学二年生ころ)発達障害の親の会に入り、似たような悩みを持つ親同士で集まり、日々の悩みを聞いてもらうことが多くなりました。特に代表者の方には個人的に相談にのってもらい、だいぶ気持ちが楽になりました。

今まで一人で、子育てをしてきて、子供たちが不登校気味で私自身も精神的に疲れている話を発達障害の親の会の代表者の方に話をすると児童相談所に一時保護という形で預けて、親子ともに距離を取り、子供も私も気持ちを落ち着ける時間を作ってはどうかとアドバイスをもらいました。

何度か児童相談所に預けたいと思うことがありましたが、子供は母親が育てるべきだから、それは最終手段だと思っていたので、そのようなアドバイスをもらい、気軽にというわけにはいきませんが、そのような形で児童相談所に助けてもらうことも悪いことではないと思えるようになりました。

そう思うようになってから、何度か児童相談所に相談しようと思っていましたがやはり、特別な場所というイメージが強く、怖くてなかなかできずにいました。そんなある日の夜、息子がいつものように家で暴れて、その勢いで家を飛び出し、大きな道路に飛び出し、そこでひっくり返りました。

何とか家に連れ戻しましたが、息子は暴れ続けて、手に負えなかったので警察を呼びました。子供達には、家で暴れて、壁やガラスを壊したりするたびに「警察を呼ぶからね」と言っていましたが今まで脅し文句で終わっていたので、子供達もどうせ脅し文句だろうと高を括っているところがありました。

私はこの時、児童相談所に一時保護をお願いする覚悟をしていました。普通に相談しに行く勇気がなかったので、何かきっかけが無いと動けずにいたからです。しかし、児童相談所は17時には締まり、連絡が取れなくなります。我が家で事件が起きる時は夜が多いので、行動に移すことがなかなかできずにいました。

警察の方が自宅に来ると息子も驚いたのかすぐにおとなしくなりました。「息子さんも落ち着いたようですし、帰りますね。」と警察官が言いましたが、児童相談所で一時保護をお願いしたいので、連れて行ってくださいとお願いしました。

夜の10時に息子を警察署の少年課に連れて行ってもらい、そこから児童相談所に連絡をしてもらい、「お母さん、本当にいいのですか?」と何度か確認され、私が「お願いします。」と言ったので一時保護所に預けることになりました。

息子はおびえて、泣き喚き、暴れだしたので数人の警察官に担がれて車に移動していきました。その時、息子が「最後にぎゅってして」と私に抱きしめてほしいと言いました。こんなことを言われたことがなかったので、覚悟をして行動したのに涙が出てしましました。

息子は、一時保護所に入所中に8歳の誕生日を迎えました。息子がどこにいるのかを教えてもらうことはできないので、児童相談所に誕生日祝いの手紙を持っていき、渡してもらえるようにお願いをしました。児童相談所では、これまでのいきさつや悩みを相談しました。

わずか2週間で息子は落ち着きを取り戻したということなので、帰宅をすることになりました。

息子は、相変わらず、こだわりが強く、パニックをおこしますが、ある程度のところでおさまり、私の話に耳を傾けるようになっていました。今まで、学校にもなじめず、家族以外と関わることが少なかったので、初めての集団生活、わがままがきかない生活がよかったようです。

私も親の会で相談したり、児童相談所で相談することで、気持ちが少し楽になりました。息子が居ない2週間の間で、心身の休息が取れ、福祉の手を借りても良いんだと思えるようになりました。

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